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【中小企業経営者向け】過度な節税はやめましょう。まずは利益を出すことを意識しましょう。

「節税をやめたら税金払わなくちゃいけないじゃないか!」
なんて声が聞こえてきそうですが、中小企業の経営者はここをしっかりと理解しておく必要があります。
あくまでも『過度な』節税はやめましょう、ということです。
そして、利益を出すことがいかに『事業経営に安定をもたらすか』
を解説していきたいと思います。

  • 節税の手法について
  • お金の支出を伴う節税について
  • 適切な節税策の活用方法について
  • 利益を出すことで事業経営を安定化させる

節税の手法について

世の中にある節税のうちそのほとんどは『お金の支出を伴う』ものです。
しかしながら、まずは『お金の支出を伴わない』節税を真っ先に活用すべきなのは言うまでもありません。
これには『中小企業投資促進税制』や『中小企業経営強化税制』、『賃上げ促進税制』など
必要な設備投資や賃上げ等を行ったことによる特別償却や特別控除による税額の減額措置があります。

これらはわざわざ節税のためにお金を支出する必要はありません。
事業に必要な投資を行い、必要な申告を行うことで節税が実現します。

ただし、これらは適切な事業計画や人材計画を策定し実施していく中で適用するものであるため
事業の状況によっては適用ができないことやコントロールが難しい面があります。


その為、次に考えるべきは『お金の支出を伴う』節税です。

お金の支出を伴う節税について

『お金の支出を伴う』節税がどういった結果をもたらすのか、その特徴を解説いたします。

簡単な数字で見ていきましょう。
ケース①:
現金:500万円
税引前利益:500万円
納税予測:125万円
純資産の増加額:375万円

この場合、納税後の現金は375万円ですが、
「税金は払いたくない」と言った場合、500万円分の経費を使うことになります。

現金:0円
税引前利益:0円
納税予測:0円
純資産の増加額:0円

そうすると納税予測は0円になりますが、現金も0円になってしまいました。
これが『お金の支出を伴う』節税の最大のデメリットです。

中小企業にとって現預金残高は『何よりも』重要です。
『何よりも』というのは言葉の通りです。
財務指標でよく聞かれる自己資本比率や利益率、収益性など重要指標はいくつもありますが、
中小企業経営にとって一番重要なのは『現預金残高』なのです。
いくら利益が出ていても『現預金残高』がないと会社は潰れてしまいます。
それを理解せずに財務指標だけに目がいってしまい
「借入利息も払いたくないし、金融機関からの評価を良くするために自己資本比率を良くしよう」
と言って借入金の繰り上げ返済をしていった結果、逆に金融機関からの評価が悪くなり、
思うような借入ができなくなってしまったというケースは良くあります。


又、事業経営には何らかのトラブルやアクシデントがつきものです。
そういった事態が発生したことで手元現金が足りず、借入をしようと思っても借入が出来ない
という状況に陥ることは企業にとっての死活問題です。

その為、『お金の支出を伴う』節税は慎重に使うべきということになります。

今回のこのケースはまさに『過度な』節税です。
125万円を節税するために500万円使っているわけですから、本末転倒です。

しかも今回のケースでは純資産の増加額も0円になります。
これも金融機関からの評価は良くありません。
純資産はいままでどれだけ利益を出してきたか、会社にどれだけの財務余力があるのかを表しています。
今後事業を拡大していきたい、安定的に経営していきたいと思っているならば純資産は積み上げていくべきです。


では節税はどうやって活用していけばよいのか、その活用方法を解説していきます。

適切な節税策の活用方法について

『過度な』節税はダメだと分かったけど、どういう場面で節税策を講じていけば良いのか、それについて解説します。

法人である中小企業にはいくつかの税制上の特例があります。
その中に『税率の軽減措置』があります。
この措置を適用した場合、税率をざっくりいうと
・税引前利益が800万円以下であれば約25%
・税引前利益が800万円超であれば約35%

というものです。

つまりこの『800万円』というのが一つの基準になります。
1,000万円の利益が出そうであれば、800万円を超えた部分には高い税率がかかりますので、
200万円分は節税の余地があると考えてもよいでしょう。

800万円の利益であれば25%の税率で200万円の税金になります。
ケース②:1,000万円の利益であれば350万円の税金になるので、200万円を節税に使うことで150万円の節税になります。(節税効果75%)
ケース③:1,500万円の利益であれば525万円の税金になるので、700万円を節税に使うことで325万円の節税になります。(節税効果46%)
前項のケース①(節税効果25%)と比べても節税効果が高いことが分かります。

ケース②は極端に記載していますが、800万円以下で節税策を講じるよりも
税率が上がる800万円を超えてから節税策を講じたほうが明らかに節税効果は高いです。

又、800万円超利益が出ている企業は現預金もある程度貯まってきているでしょうし
金融機関からの評価も上げていきたいフェーズでもあります。
その為、無理に800万円以下に抑える必要はありませんが、 税率35%の段階であるならある程度の節税策は講じても良いと考えます。

その為、まずは年間利益800万円を目指して、それを達成したときに節税策を講じることをオススメいたします。
800万円以下の利益で色々な節税策を講じていると、
手元現金はあまり増えないのではないでしょうか?
節税策が事業拡大の妨げになっていないでしょうか?


そういった企業は金融機関からの評価は上がりにくいと思いますし
売上・利益よりも節税に目がいってしまうと本末転倒なのでご注意ください。

利益を出すことで事業経営を安定化させる       

以上、節税の活用方法について解説していきましたが、同時に利益を出すことの重要さもお伝えしてきました。
企業の本分は利益を出すことです。利益を出すということは社会に対して価値を生み出しているということになります。
これは大きな視点でのお話しなので実感が湧かないかもしれません。
もっと小さな視点で考えてみると 経営者自身や従業員とその家族の生活の安定を守るためと言えば
事業を安定化させることがいかに大事かが分かると思います。


事業の安定化とは、企業が潰れないこと。
潰れないためには支払を滞らせないこと。
支払を滞らせないためには手元現金を増やすこと。
手元現金を増やすためには利益を増やすことはもちろん、借入できる企業であることです。


金融機関と付き合わない無借金経営ができる中小企業は数えるほどでしょう。
金融機関とうまく付き合うことは事業経営を安定化させるためにはとても重要なことです。
その為にはしっかりと利益を出して、税金を支払い、純資産を増やし、手元現金を増やすというサイクルを続けていくことです。

いかがでしたでしょうか?
今回は利益を出すことの重要さを解説していきました。
節税も大事ですが一番ではありません。優先順位があります。
そこが事業を安定化させるためのキーワードです。
皆さまの経営の参考になりましたら幸いです。
それではまた。

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